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手塚治虫火の鳥シリーズ『太陽編』を読んで。あらすじ・解説・ネタバレあり!

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手塚治虫氏の火の鳥シリーズ「太陽編」は、光対影、神様対仏様のような壮大なスケールで描かれた伝説の物語です!

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ストーリー

物語の舞台は2つ。7世紀の朝鮮半島と21世紀の日本?と思われる世界です。

朝鮮半島にある白村江の戦いというのが起こります。唐の国(中国)と森羅の連合軍対倭(日本)と百済の連合軍の戦いです。結果は唐&森羅の勝利。負けた百済の国の王族ハリマは顔の皮をはぎ取られて代わりにオオカミの皮をかぶせられます。こうしてハリマは顔はオオカミ、身体は人間という姿になってしまうのでした。

そのまま絶命かと思われたが、自称・医者で仙人だというおばばに命を助けられます。そしておばばの占いで倭の国に渡れば運が開けると悟った二人は、倭の船を盗み、倭の国に逃亡を図ります。だが途中で今回の敗戦の責任者でもある「阿部比羅夫」という将軍の命を助けて3人で倭の国に向かいます。

だが、倭に着いてすぐにハリマ達はキツネの一家に襲われそうになります。なんでも一人のキツネが矢傷がもとで死にかけているらしい。ハリマはおばばに命じて薬を調合させそのキツネを治します。そのキツネが狗族の王女・マリモでした。このマリモとの運命的な出会いが、その後のハリマの人生を大きく変えることになるのでした・・・。

もう一つの世界。21世紀の日本。主人公のスグル(ハリマの何百年後の生まれ変わり)のいる世界は火の鳥を神とした宗教団体「光の教団」が権力を握っていました。そしてその火の鳥の力を信じない者たちは「闇の軍団」となり光対影の激しい対立が行われていたのです。スグルは「闇の軍団」シャドーの一員でした。

だが「光の教団」の弾圧のチカラでシャドーはだんだんと勢力が衰えていきます。そしてシャドーのリーダーはスグルに光の教団に忍び込んで火の鳥を盗み出すように命令します。スグルは自らの命をかけて地上にでて光の塔に潜入します。だが惜しくもスグルは相手方に捕らえられて奴隷となってしまいます。そしてその奴隷の証として、頭からオオカミの顔をしたお面をかぶせられるのであった・・。

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管理人の解釈と評価

火の鳥シリーズの最後にして最長の物語です。それだけに読むものをうならせるほどのスケールと感動の作品になっています。

この作品に対して、手塚先生はこう言っています。

「信仰というものは人間がつくったものだ。時代とともにどんどん新しくなっていき、その中で古い宗教との葛藤が生まれる。そしてその葛藤からまた新しいものが生まれる。その繰り返しだと思う」と。

この作品では、日本に古くから存在した土地の神様と、外国から伝わってきた仏教とが激しく対立します。またスグルの世界でも光と影の軍団が信仰の違いにより、家族まで離れ離れになりながら対立しています。手塚先生はどちらが正しいとか間違っているとかではなく、そういう信仰の違いから人間は進化していくのだ。と言いたいわけですね。

この物語は最後には大海人皇子が勝利し、新たに「太陽を神と崇める」という信仰を生み出します。そして日本の名前の由来になったと書いています。結局はそうなんです。時代や支配者が変われば、崇めている神も変わる。信仰もかわるんです。だから信仰の自由があるわけで・・・。

またこの作品の斬新なところは、仏教を日本に侵略してきた邪鬼のように描いています。そのようなマンガは今までなかったのではないでしょうか?そして光の教団の火の鳥もしかり、地下組織シャドーの人間を主人公に描き、火の鳥を信仰している教団を悪者のように描いている。火の鳥シリーズ最後の作品では、このような描き方をする手塚先生はさすがと言うべきですね。

手塚先生が火の鳥シリーズで伝えたかったもの。それは「命の尊さ」や「人間の素晴らしさ・愚かさ」そして「自然の持つチカラ」この3つだと思います。これがベースとなって我々に感動を、時には恐怖を教えてくれたんですね。

火の鳥は、やはり後世に残る素晴らしい最高のマンガだと思いました。

この本から生まれた名言

「仏教を強圧的に広めようとするお上に、力を貸す気はないのだ!」   「クチイヌ」

 

管理人の評価
・読みやすい      ★★★★★
・絵の見やすさ     ★★★★☆
・感動した       ★★★★☆
・人に勧めたい     ★★★★★
・子供に読んであげたい ★★★★☆
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