ミステリー 横山秀夫

横山秀夫『半落ち』は日本中が震えた人間ドラマです!詳しく解説します!(ネタバレあり)

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横山秀夫氏の「半落ち」は、妻を愛するがゆえに殺害してしまった、悲しい男の物語です!

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ストーリー

志木刑事は、ある連続幼女暴行事件の犯人を追っていた。証拠も固め、いざ踏み込む!という時になって電話がなる。その電話は警察本部からのもので至急戻ってある人間の取り調べを行うように命じられる。そしてその男とは、現職の警察官である梶総一郎だった。

彼はアルツハイマーの妻の首を絞めて殺した。と言って自首してきていた。志木は疑問に思った。自白しているのなら何のために取り調べをするのか?自分じゃなくても良かったのでは?だがその理由はすぐにわかる。梶は妻を殺してから3日後に自首してきた。そしてその2日間にどこで何をしていたのかを言おうとしない。いわゆる「完落ち」ではなく「半落ち」であったのだ。

志木は何回も説得する。この2日間何をしていたのか?どこに居たのか?だが全く口を開こうとしない梶をみて、ついに上層部が動く。ありもしない行動を梶に自白させて勾留させたのだった。

だが志木は納得いかない。なぜ彼は黙っているのか?それほどまでに頑なに口を閉ざす理由は何なのか?そしてついに裁判の日がやってきた・・・。

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管理人の解釈と評価

この作品は、様々な人間への多くの愛情がテーマになっていると思います。息子を亡くした悲しみ、妻が崩壊していく苦しみに耐えられなくなってしまった一人の男が、人生の最後に何か自分が生きていたことの証みたいな物を残したかったのではないでしょうか?

ネタバレになりますが、梶は空白の二日間。息子に会いに行っていたわけです。息子の骨髄を使って生き延びることができた息子に。そしてそれは妻がずっと望んでいたことだったんですね。

法律では、骨髄移植を行った場合、ドナーと提供者が合うことは禁じられているそうです。もし自分がそれを行ったことを話したら、警察内部の人間にまで迷惑がかかる(彼は現職の警察官)と思った梶は、ひたすら黙秘を続けていたというわけですね。まさに人間の本当の思いやりとはこういうことを指すのではないでしょうか。

もちろん、初めて読んだ時、私は涙が止まりませんでした。確か30歳のときだったと思いますが、「64」と同じく好きなミステリー・・・いやヒューマンドラマの一つです。ぜひ読んでみてくださいね。

※ちなみにこの作品は色々な波紋を呼び、横山秀夫先生は直木賞と決別しています。理由は作品のみならず、この本を指示した読者すらも馬鹿にしたからだ。とのこと。それでもいまだに読者から面白いという意見が減らないのですから、こういうのが本当の名作と呼ぶべき作品なのでしょうね。

この本から生まれた名言

「昨日も今日も、骨髄の適合者が現れずに子供たちが死んでいっている。ならば生きよう。生き恥を晒そう。登録が取り消される51歳の誕生日まで。」    「梶総一郎」

 

管理人の評価
・読みやすい    ★★★★★
・人生に影響した  ★★★★★
・感動した      ★★★★★
・人に勧めたい   ★★★★★
・恐怖度      ★☆☆☆☆
■ミステリー評価  A

 

 

 

 

 

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