ミステリー 森村誠一

森村誠一『人間の証明』を読んで。何度もドラマ化される理由が分かった!(ネタバレあり)

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森村誠一氏の「人間の証明」は、感動で涙が止まらなかった人間ドラマの最高峰です!

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ストーリー

高さ150mの超高層ホテルの最上階にある「スカイダイニング」そこに向かっているホテルのエレベーター内で、刺殺された一人の死体が発見された。

警察は死体を見て捜査が長引くことを予感する。なぜならその死体はジョニーヘイワードという黒人の若者で、所持品を何一つ身に付けていなかったからだ。

さらに警察は、彼がなぜこのエレベーターに乗っていたのか?どこに行こうとしていたのか?見当もつかない。事件のほとんどが謎に包まれた殺人事件だったのだ。

事件を担当するのは棟居刑事。彼は幼いころの出来事がきっかけで人間全てを恨んでいた。人を信じず、頼らず、醜い生き物だと決めつけて生きてきた。

彼は、まずはジョニーヘイワードの出生と生い立ちを探るため、アメリカにわたるのだが・・・。

別の物語・1

郡恭平は両親ともに権力者の大金持ち。勉強もせず遊び惚けては親から金をせびっていた。ある日、パーティーで出会った路子とクルマを走らせていると一人の女性を跳ねてしまう。そしてその死体を隠蔽するという行動にでるのだが・・・。

別の物語・2

事故で身体の自由を失った武雄は、仕事もできずにただ家で酒を飲むだけの日々。代わりに妻の文枝がホステスになり働いて家計を支えていた。だが嫉妬深い彼は、文枝が浮気をしているのではないかと疑っていた。ある日、文枝が帰ってこない日がきた。最初は浮気と思ったが電話にも出ず店にも出勤していないことを知った武雄は警察に相談するが・・・。

別の物語・3

ニューヨーク市警のケン・シュフタンは二つのことが頭から離れなかった。一つは日本で殺された黒人の若者。彼はどうやって日本まで行くことができたのか?金など無かったはずなのに。そしてもう一つはその若者が日本に行く前に友人に発した言葉「キスミー」の意味だった・・。

物語を読み進めていくと、この3つの物語が全て1つにつながります。

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管理人の解釈と評価

この作品はただの殺人事件の解決ものではありません。ヒューマンドラマということを忘れないでください。基本的には人が殺される。犯人を操作する。犯人を見つける。逮捕する。の流れですが、そこに至るまでの様々な人間ドラマ、棟居刑事の感情、郡杏子の人間性。どれをとっても人間であるための、人間でいつづけるための行動が事件を解決に導いています。

わたしはこの作品は、日本史上に残る名作だと言ってよいだろうと思っております。本もドラマも何回も見ましたね。それだけガッツリハマりました。

まず最初の見どころは棟居刑事という人物。

彼は幼いころに、米兵に父親を殺されています。若い女性が襲われているのを助けに入ったら返り討ちにされたのです。しかもその女性は逃亡、周りにいた人間は傍観者ばかりで誰一人助けてはくれませんでした。

その経験が棟居という人物を形成しています。人間は醜く、あさましく、自分のことしか考えない生き物だ。という考えから、そういう人間を追い詰められる職業として刑事を選んだのです。

さらに犯人逮捕への執念も尋常ではありません。時には行き過ぎた捜査方法で何度も罰をうけています。

孤独でありながら、人間とは一体何なのか?を自問自答しているのが棟居です。

そしてもう一つの見どころが犯人である郡杏子という人物。

ドラマでは見ているほとんどの人が「あっこいつが犯人だ!」とわかるんですが、小説では最後まで犯人はわかりません。そこはまぁ好みの問題ですが私はドラマの方が面白かった印象でした。どうやってこの犯人を追い詰めていくのか?自供に追いやるのか?が見ていてとても興奮したし胸が熱くなりました。

最後の名シーンは小説とドラマでやや異なります。ですがどちらの結末も味があって感動するのは間違いありません。

とにかく一度は読んでみてください。別の話と思われた物語が最後には見事につながって読んでいる者の心を強く打ちます。やはり私もあなたも棟居も郡杏子も同じ人間なんだ!と叫んでしまうかもしれませんよ。

この本から生まれた名言

「母さん、あの帽子どうしたでしょうね。」    「西城八十」より

 

管理人の評価
・読みやすい    ★★★☆☆
・人生に影響した  ★★★★★
・感動した      ★★★★★
・人に勧めたい   ★★★★★
・恐怖度      ★★☆☆☆
■ミステリー評価  A
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