ミステリー 横山秀夫

横山秀夫『動機』を読んで。あらためて横山秀夫の世界に酔いしれてみた!

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横山秀夫氏の「動機」は第53回日本推理作家協会賞受賞作です。他の作家とは違う珠玉の4話が掲載されています。

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ストーリー

横山秀夫さんは元新聞記者なので警察の内情にものすごく詳しく、ほとんどの作品に警察の裏側のような、とても詳しくないと書くことができないような箇所が数多くでてきます。それが横山秀夫シリーズの魅力でもありますが・・・。

本作品はその警察を舞台に全4話が収録されています。

第1話・動機

病院に入院している父のお見舞いにやってきていた貝瀬(県警本部警務課企画調査官の警視)は、父親も同じ警察官だったことを思い出していた。だが、急に携帯電話が鳴った。相手は部下の井岡だった。事件が起きたからすぐに戻ってきてほしいと言っていたので署にもどると、会議室ではすでにお偉いさん方の緊急会議が開かれていた。その事件とは「警察手帳30冊」の紛失だった。そして貝瀬はこの紛失劇の責任を問われることになるが・・・。

第2話・逆転の夏

女子高生殺しの前科を持っている山本洋司は、過去の自分の罪を忘れることなくひっそりと暮らしていた。もう40歳を過ぎたころ。ゆっくりと人生を終えたい・・。そう思っていたところに匿名の人物から自分宛に電話が入る。内容は「殺してほしい人間がいるんですが、お願いできますか?」ということだった。

第3話・ネタ元

県民新聞の記者である水島真知子は、ライバル社である東洋新聞から引き抜きの話がきて驚いていた。県民新聞と東洋新聞は特に仲が悪く決して相容れることのなかった間柄なのに・・・。不審に思った真知子は話の裏を取るべく動き始めるのだが・・・。

第4話・密室の人

安斎裁判官は、裁判の公判中にあろうことか居眠りをして妻の名前を呟いてしまう。法廷は静まり返り閉廷。その後裁判官室に呼ばれ左遷させられることに。一体なぜ居眠りなんかしてしまったのか?そもそもそれだけの理由で左遷されるのか?安斎はどうにも納得がいかない・・・。

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管理人の解釈と評価

私の大好きな作家、横山秀夫先生の作品の紹介です。

横山秀夫さんは群馬県で元警察関連の新聞記者として長く勤めていらっしゃったので、警察の内情にとても詳しく、まさに横山秀夫さんの本で警察の組織図を知ったと言っても過言ではないくらい細かく書かれています。

例えば他の作家さんなら、刑事が・・・とか、巡査部長が・・・とか、はたまたお偉いさんが・・・とか抽象的な書き方をしますが、横山秀夫さんの場合○○県警○○課○○部長とか、〇階の○○課の隣にある○○企画室の○○みたいな・・・。(すげー細かいー。内情知りすぎーみたいな)

横山秀夫さんの本を読むまでは、刑事課と警務課の違いとか、警視総監の上に警察庁長官がいる、とか知りませんでしたからね。(笑)ただ、とても漢字が多くどちらかと言うと松本清張さん的な書き方に見えるので、ミステリーに慣れていない人には難しく感じるかもしれません。(私的には横山秀夫さんのミステリーが読めたらミステリー通として認めてます(笑))

さて、本作品は横山秀夫さんの短編集ですね。いつもの通りあのD県警が舞台になっています。今回はあの二渡刑事(?警視だったかな?)は出てきませんが、見ごたえは十分の作品です。

この作品で、横山秀夫さんは日本推理作家協会賞を受賞されています。それもそのはず。ストーリーの構成がやはり他の作家とは一味違う。どの作品も人間ドラマが中心となって描かれていて、読み終わった後にくる余韻はドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」ばりの余韻を感じます。それだけインパクトも強く、時には涙するような話ばかりです。

おすすめは「動機」といきたいところですが、あえて個人的な意見で「密室の人」を挙げておきます。

警察だけじゃなくて、裁判所でもいろいろあるんですね・・・。ホント勉強になりますわ・・。この人の本は・・・。

この本から生まれた名言

「生きていくしかなかった。どれほど無様な生きざまであろうと、投げ出してしまえる人生などないのだから。」    「動機」 より

 

管理人の評価
・読みやすい    ★★★★☆
・人生に影響した  ★★★★☆
・感動した     ★★★★☆
・人に勧めたい   ★★★★☆
・恐怖度      ★★☆☆☆
■ミステリー評価  B
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-ミステリー, 横山秀夫

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