ミステリー 湊かなえ

湊かなえ『花の鎖』を読んでみました。詳しく解説します。

投稿日:2019-01-28 更新日:

2007年「聖職者」で新人賞を受賞。08年には「告白」がミステリーベスト10に選出された「イヤミス(イヤミステリー)の女王」と呼ばれている湊かなえさんの名作『花の鎖』は3人の女性をつなぐ悲しい物語と謎の男性「K」による傑作ミステリーです。

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ストーリー

3人の女性(それぞれ名前に雪・月・花が入っている)が主人公。全部で6章にわけられていますが、1つの章にそれぞれが交互に出てくるので全部で6×3人=18話という分けられかたになります。

そしてこの3人の視点はどれも同じように見えるため、錯覚してしまいますが実は、雪➡月➡花の順番で時間軸は回っています。つまり同じ時代の物語ではなく、祖母➡母➡娘の物語なのです。

美雪の物語

大学を卒業して、親戚の建設会社に事務員として働く美雪は、高野和弥という人物と出会い結婚します。

二人は幸せに暮らしていましたが、ある日和弥は大学時代の同級生である北神陽介から誘われて、新しく建設会社を立ち上げることを手伝ってほしいといわれて引き受けます。そして物語の舞台となる「梅香堂」あるこの町に引っ越してきます。

ところが後日、美雪は陽介の妻である夏美から、和弥は設計ではなく営業をやらせるために引き抜いたこと。そして設計図はまったく評価に値しないレベルであることを聞かされて愕然とします。

ですがそれでも美雪は和弥の夢を応援すべく、事実を伏せたまま彼を応援し続けます。

そしてある日、和弥の書いた美術館の設計図が選ばれます。

喜んでいる二人を一つの疑問が襲います。

その設計図は和弥が設計したものなのに、名義が事務所になっていたのです。

納得がいかない美雪は、陽介の家に出向き問い詰めます。すると彼はいくつか自分が手直しをした。だから選ばれたのだ。と主張します。そしてこの主張に和弥は反論せず、ただ現実を受け入れるのでした。

納得がいかない美雪ですが、和弥は気にすることなく次の仕事にとりかかります。

しかしここで悲劇が起こります。

和弥が事故にあって病院に運ばれたとの連絡を受けます。

急いで病院に向かう美雪。しかし病院についた時にはもう和弥は死んでいました。

なぜこんなことになったのか?

美雪は理由を問い詰めます。すると和弥、陽介、そして友人の森山の3人で美術館の建設予定地である御笠渓谷に向かう途中、岩場に向かった和弥は雨でぬれていた岩に滑って転落したといいます。

そしてその時、陽介と森山は何度も止めた。危ないから行くな!と何度も止めたことを強調します。

この時に美雪は陽介が嘘をついていると考えます。

悲しみに暮れる美雪は、ついに自殺を考えますが、森山に助けられ命を繋ぎます。そしてお腹に和弥の子供がいることを知ります。

立ち直った美雪は、やがて一人の女の子を生みます。その子供が「紗月」です。

紗月の物語

生まれつき絵画の才能がある紗月は、絵画教室の講師をしながら和菓子屋でアルバイトをしています。

ある日、紗月のもとに「K」という人物から手紙が届きます。その人物は短大時代の友人の希美子でした。

そしてその手紙には会って話がしたいと書かれていて、紗月は5年ぶりに希美子と再会します。

そして希美子から夫である浩一さんを助けてほしいとお願いされます。浩一さんとは紗月の元カレです。(この浩一さんというのが、美雪の物語ででてきた北神陽介の息子)

浩一さんは急性骨髄性白血病で苦しんでいる。と聞かされますが、紗月は頑として聞き入れず、ついには希美子とケンカになってしまいます。

そこでケンカを止めに入ったのが公民館で働く前田でした。

後にこの前田と紗月は一緒に食事に行く間柄になり、一緒に八ヶ岳にコマクサという花を見に行くことになるのです。

前田と登山の約束をしている日がくるまで、紗月にはあることが思い出されました。それはかつて短大時代、山岳同好会で出会った倉田のことでした。

倉田と紗月は、過去に国立美術館に一緒に行った時に、美術館の設計者が浩一の父、北神陽介であることを聞かされます。そして香西の「未明の月」をみた直後に倉田は倒れてしまうのです。

そして前田との登山当日、紗月は前田に全てを打ち明けます。希美子のお願いの内容、そして倉田のことを話します。

診察の結果、倉田の病気は急性骨髄性白血病であることが判明します。

そしてその倉田と白血球の型があうのは、紗月と浩一だけだったことを伝えます。

その後倉田は亡くなります。そして浩一と付き合うようになるのです。

ですがもちろん母である美雪が認めるわけはありません。また浩一の両親も紗月との交際に反対します。その時初めてお互いが両家の確執を知ることになるのです。

やがて二人は別れ、浩一は希美子と結婚することになります。

全てを前田に打ち明けた紗月は、浩一に骨髄液を提供することを希美子に約束します。そして前田と結婚して一人の娘を生みます。その娘が「梨花」です。

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梨花の物語

英会話スクールの講師をしていた梨花は、職場の経営者が逃亡していきなり無職になってしまいます。

さらに祖母である美雪がガンで入院していて手術が必要なほど追い詰められていました。

お金のない梨花はある一人の人物を頼ります。その人物とは毎年の1月20日に母の紗月宛てに花束を送ってきてくれる「K」という人物でした。

過去にこの「K」から計税援助を申しだされたことがあったが、その時は一度拒否しています。ですが今は無職になり手術代も必要なので、なんとか「K」とコンタクトを取ろうと試みます。

そして約束の日、指定された場所に向かうとそこには「K」の秘書という人物が現れます。「K」の秘書は「K」はもうこの世にいない。私は「K」の息子だといい、イヤイヤ経済援助をすることを約束しようとします。

頭にきた梨花は手術代の援助を断るが、そこに新たな人物、森山が現れて、「K」と紗月との関係。そして祖母である美雪との関係を全て梨花に伝えます。

さらに後日、森山とともに清里を訪れた梨花を待っていたのは、夏美、希美子、そして浩一の息子・伸明でした。

そこで梨花は「K」のこと。そして和弥が死んだ日のことなど、全てを打ち明けられることになるのです。

管理人の解釈と評価

この作品。はっきり言って1回では内容を理解することは難しいでしょう。2回読んで内容がやっと把握できると思います。

この記事は3人の人物のストーリーをわかりやすく、大雑把に分けて書きましたが、本編は1つの章に3人の物語が交錯していてとても理解しづらかったです。

ここでは祖母・美雪➡母・紗月➡娘・梨花の順で書いていきましたが、本の中ではいきなり梨花からはじまります。そして美雪、紗月と交錯した書き方なので、個人的にはすごく読みづらい作品でした。

内容は、とても感動的で良い話だとは思いますが、「告白」のように1つ1つの物語をつながっているにせよ、分けて欲しかったです。

例えば、同じ内容でも男性の作家が書いたら全く違う本になっていたのかな?と考えると、もう少し違った書き方の方が良かったのかな?と思ってしまいますね。

この本の書評を書くと決めたので、読み返しましたが、もう3度目は読まないと思います。(向き不向きの問題かな?)

この本から生まれた名言

「涙はいらない。強くなれ。強く、強く、強くーーーー」     「第6章 雪の決意」

 

管理人の評価
・読みやすい    ★★☆☆☆
・人生に影響した  ★★☆☆☆
・感動した     ★★★★☆
・人に勧めたい   ★★☆☆☆
・恐怖度      ★☆☆☆☆

 

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-ミステリー, 湊かなえ

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