エドガー・アラン・ポー ミステリー

エドガー・アラン・ポー『盗まれた手紙』から学ぶ。優れた推理方法とは?

投稿日:2019-01-09 更新日:

推理小説の先駆者エドガー・アラン・ポーの『モルグ街の殺人事件』とともに有名な作品と言えばこの『盗まれた手紙』ですね。

ちょっと癖の強い作品ですが、なかなかの名作です。解説していきましょう。

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ストーリー

恐ろしいほどの読書家で天才的な推理力を持っている友人C・オーギュスト・デュパンと私は、いつもと同じように部屋でゆっくりとくつろいでいると、旧知の間柄である警視総監やデュパンを訪ねてやってくる。

訪ねてきた理由は、ある手紙を見つけてほしいとのことだった。

その手紙には政治的にとても重大な内容が書かれていて、持ち主である貴婦人は無くさないように大事に持っていた。

あるパーティーの晩。貴婦人が自分の部屋でこの手紙を読んでいると、政敵である大臣が部屋を訪ねてくる。

とっさの事だったので、思わず手紙をテーブルの上に置いてしまう貴婦人。実は大臣はその手紙の内容を知っていて、盗みに来たのだった。

そしてとても大胆なやり方で手紙を盗んだ大臣は、その手紙を武器に政治の世界に足を踏み入れ、非道なやり方で次々とのし上がっていく。

貴婦人は悩んだ末に、警視総監に内容を話すと、警視総監は大臣の不在を狙って3度の家捜し。さらに2度の急な身体検査を行うが、手紙は一向に見つからない・・・。

困り果てた警視総監は、ついにデュパンの知恵を借りに来るのであった・・・。

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管理人の解釈と評価

まずネタバレになりますが、手紙は見つかります。それもデュパンの手によってです。

この本のポイントは、『大臣はどこに手紙を隠しているのか?』ですが、もう一つあります。それは『デュパンはいつ見つけた手紙を渡すのか?』です。

デュパンは警視総監にこう言います。「もし見つけたらいくらくれるの?」

とても面白いと思いませんか?相手は警視総監なのに。このあたりの現実的というか、ちゃんと金を求めてくるというところが、現代の人には受け入れられて楽しんでもらえるシーンではないかと思います。さすがフランスといった印象です。

そこで警視総監が「5万フラン」というと、デュパンは「んじゃここで小切手を切って」とお願いして、さっと盗まれていた手紙をテーブルの上に置くわけです。

大喜びして手紙を受け取り、貴婦人のもとへ走っていく警視総監の姿が目に浮かぶ様ですね。

そしてこの本のテーマはまさに『木の葉を隠すなら森に隠せ』ですね。

手紙は大臣の家のあるところに隠されていたのですが、そこに至るまでの2回にわたる大臣宅への訪問や、大臣が手紙を盗んだ時以上に大胆に手紙を盗むデュパンの見事なやり方は、読んでいてとても面白いと思います。

警視総監が何回調べても見つけられないのに、デュパンは一回で見つけてしまう。その理由をデュパンはこう述べます。

『自分ならどこに隠すかを考えていたら一生見つからないよ。自分の思考回路を相手にあわせることで、その人物になりきるんだ。そうすればおのずと相手の思考パターンはわかってくる。』

う~ん。明智小五郎でも古畑任三郎でも言えないセリフですね。

そして手紙を盗んだ後、手紙があった場所にまた別の手紙を置いておく。盗まれたことに気付かない大臣は、その手紙を読んで愕然となる。そして破滅していく・・・

物語はここで終わっています。手紙の内容については一切触れていません。(まあどーでもいいことだが・・)そしてこの作品を最後にC・オーギュスト・デュパンは登場しなくなります。

推理小説の続き物というか、毎回一人の主人公に登場人物も同じという「刑事コロンボ」スタイルを最初に確立した作品です。この作品以外にも「モルグ街殺人」「マリーロジェの謎」があり、この「盗まれた手紙」が3作目の作品です。

短編小説なので読みやすく、また物語の構成も見事なので、1度は読んでみてはいかがでしょうか?

この本で生まれた名言

最も巧妙な隠し方は、実は隠さないことなんだよ。   「C・オーギュスト・デュパン」

 

管理人の評価
・読みやすい    ★★★★☆
・人生に影響した  ★★☆☆☆
・感動した     ★☆☆☆☆
・人に勧めたい   ★★★★☆
・恐怖度      ★☆☆☆☆
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