哲学書

トルストイの『復活』を読んで復活の本当の意味がわかる?ストーリーを見てみよう。

投稿日:2019-01-08 更新日:

19世紀のロシアを代表する小説家・思想家の一人トルストイの最後の名作『復活』

常に平和主義を貫き、人間の良心や愛を原点に道徳的人道主義を説くトルストイの長編小説です。初めて読んだのは26~7歳の時だったと思います。当時この手の小説にハマっていた僕は、ところかまわず哲学書・文学書を買い漁っては読みふけっていました。この作品がドストエフスキーの『罪と罰』に似ていると思うのは私だけでしょうか?

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ストーリー

ある殺人事件の陪審員を務めるネフリュードフ公爵は、被告人の女の顔をみて愕然とする。その女はかつて自分が弄んで捨てた、下女のカチューシャだったのである。そして裁判の手違いでシベリア徒刑の宣告をされる彼女にネフリュードフはかつての自分の行為を思い出し、罪の意識を覚える。そして彼女をなんとか救おうと奔走し始めるが・・・。

というのが本の内容だったと思います。

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管理人の解釈と評価

欺瞞に満ちたロシア社会への批判が上手に織り込まれた、素晴らしい小説であり、また主人公のネフリュードフが自分の義理の兄イグナーチイと人生論について議論するシーンは、この本の見どころに一つだと思います。

若い時にこの本を読んだ私は、なぜか感情移入が半端じゃなかったです。自分が過去に犯した罪を償おうとするネフリュードフの行動と、最初は相手にしないながらも、ひたむきに自分の為に頑張ってくれるネフリュードフを見て、次第に心を許していくカチューシャの姿が、まさに純愛そのものだ!と感動したのを覚えています。

なんか男って、報われないというか自暴自棄というか、辛い境遇にある女性を助けてあげたくなるじゃないですか?(俺だけかな?)

しかもそれが自分のせいなら尚更ですよね?「ネフリュードフカッコイイ!」「がんばれ!」って応援しながら読んだ記憶があります。

と、ここまで見るとそんな悲しい恋愛小説という感じがしてきますが、実はこの『復活』はそこよりも別のテーマが大部分を占めているんです。

それが『身分制度の無情さ』『人間への公平さ』だと思います。

当時のロシア社会は男尊女卑で欺瞞に満ちた、身分制度が全てを支配しているような時代でした。その中でトルストイは、女性への尊厳や人間への尊重を訴えている作品なのです。

作中の1部分にこういうストーリーがあります。

2人の男が酒が原因で人を殺してしまいます。

1人は士官。1人は百姓でした。

この事件に対して周りの貴族たちが色々な意見を言い合います。「思い罰を与えないとまたやってしまう」とか「死刑にすべきだ」とか。

でもネフリュードフはこのように捉えます。

私は、先日この事件の一人の百姓を刑務所で見かけました。彼は自分のカッとなった行動のせいで家族と話され、足枷をはめられ、頭を剃られ、懲役に就こうとしていました。でも士官のほうを見ると、営倉内の立派な部屋で、満足な食事と美味しいお酒を飲んでいた。そして明日か明後日には何事もなかったかのように以前の生活に戻るだろう。この事件で起こったことはただ一つ。人々の関心と興味を引いた。ただそれだけだ。

 

同じように人を殺しても、なぜこれだけ差が生まれてしまうのか?これは正しいことなのか?とネフリュードフは自問自答を繰り返すようになります。

そして幾度となくそれを繰り返すうちに、ようやく一つの結論に辿り着きます。

それが【自分が正しいと思うことをしよう!たとえそれが報われなかったとしても】と新しい自分を生み出すのです。そしてその為のきっかけとなったのはもちろんカチューシャとの再会ですよね?

この物語は人間の人間に対する影響力。愛のチカラ。すなわち人間への尊重が真のテーマだと思っています。(あくまでも個人的には解釈ですのであしからず)

他にもネフリュードフが自分の財産を農民に分け与えようとしたり、カチューシャと結婚しようとしたりと、自分を信じて様々な行動をとるが、何度となく周りの反対にあい上手くいきません。それでもやり続ける彼の姿は、読んでいてとても印象にのこる作品です。

この本で生まれた名言

私には、裁判所の活動というものが、やたら無意味で残酷な営みにしかみえないのである。     「ネフリュードフ」

 

管理人の評価
・読みやすい    ★★☆☆☆
・人生に影響した  ★★★★☆
・感動した     ★★★★★
・人に勧めたい   ★★★★★
・子供に読ませたい ★★☆☆☆

最後に余談ですが、物語に出てくるヒロインのカチューシャ。誰もが聞いたことのある名前ですよね?そう。女性が頭につけるあれですよね。

実はこの物語のカチューシャからとられたものなんです!

この『復活』が日本でブームになった時、大正時代に演劇になったことがあります。その時にカチューシャ役を演じた松井須磨子さんという方が、いつも頭に付けていたそうで・・・。そのファッションからこの髪飾りが「カチューシャ」と呼ばれるようになったそうです。

調べてみると、まだまだ自分の知らなかったことがわかる様になるので面白いですね。

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